2020年6月6日土曜日

Justice League of America (2017-2018) Vol. 1: The Extremists 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。
 Black Canary(ブラックキャナリー、Dinah Lance (ダイナ・ランス))はBirds of PreyシリーズやGreen Arrow誌に登場していることが多いですが、最近の作品では他のチームに入っていることはないものか――と調べてみたところ、最近連載されていたJustice League of America誌に登場していたので1巻を読んでみました。
 
【基本情報】
Writer: Steve Orlando
Artists: Joe Prado, Ivan Reis, Various, Felipe Watanabe
Cover by: Joe Prado, Ivan Reis
発行年 2017年

公式サイトはこちら。



 バットマン(ブルース・ウェイン)がまた新しいメンバーを集めて新しいヒーローチームを作ったよ、というお話です。バットマンは「どれだけ戦ってもヴィランがいなくなるわけじゃないし、たまには気分転換で目新しいメンバーを集めてみようか」……とか、そんなスタンスになっている気もします。
 とはいっても、作中ではちゃんとチームのコンセプトが紹介されていまして、
 
・神ではなく、人間のチームとする。そして、人々のロールモデルになれるようにする。
・一度過ちを犯した人であってもチャンスを与えられるようにする。
・オープンなチームとし、人々が基地に来てヒーローと触れ合えるようにする。

 というチームとして作ったものだそうです。オープンに、といって記者会見を開く場面もあるものの、バットマンは姿を見せなかったり、事件の関係者と話すときにバットマンだけ覆面をしていたりと言い出しっぺが一番コンセプトに沿っていない行動をとっていますが……。
 
 今回のチームは次のようなメンバーです。
 
・バットマン(ブルース・ウェイン):チームリーダー。
・ブラックキャナリー(ダイナ・ランス):シアトルでヒーローとして活動していたが、チームの良心としてバットマンに呼ばれる。
・Vixen(ビクセン、マリ・マッケイブ):一族に伝わるトーテムの魔力により、動物の力を使って戦うヒーロー。ファッションモデルでもあり、様々な事業にも手を出していたりと忙しい。バットマンからの誘いも最初は断るが、やがてチームに入る。
・Killer Frost (キラーフロスト、ケイトリン・スノー):元々は科学者だったが、氷を使って戦う力を得た。力のコントロールを失う危険があるようだ。かつてはヴィランだったが、生き方を変えたようである。現在はFrost (フロスト)と名乗っているが、キラーフロストという名前の方が有名。
・Lobo (ロボ):惑星Czarnia出身の異星人。怪力で戦う。もともとヴィランだったはずだが、バットマンとの関係は悪くないようだ。
・The Atom(アトム、Ryan Choi):先代のアトムとして活躍していたレイ・パルマー(Ray Palmer)教授のティーチングアシスタント。教授が行方不明になり、Atomのスーツを使うようになる。小さくなることができる。
・The Ray (レイ、Raymond Terrill):光の力で戦うヒーロー。

 ……。神様よりはましかもしれませんが、この人たちの活躍を見てロールモデルにできるでしょうか。自分からかけ離れ過ぎていて、「わー。すごーい」という以上の感想を持てないような気もします。
 
 とはいえ、戦う敵は独裁者だったり武器を集めて混沌を求める人だったりと、確かに人間ぽい存在かもしれません。また何だかんだでベテランと若手、過激派と穏健派のバランスが良いチームなので読んでいて楽しいです。
 
 この巻で印象的だったのは、ブラックキャナリーとキラーフロストでした。
 ブラックキャナリーはバットマンからチームの良心としてスカウトされたのですが、バットマンがチームメンバーに何かを隠しているのに気づいて不信感を抱きます。その時バットマンに言うセリフがこちらです。
"TRUST INVOLVES HONESTY. NO SECRETS. ASK BATGIRL-- I KNOW HOW A FUNCTIONING TEAM WORKS."
「信頼は正直さから生まれる。秘密をつくらないこと。バットガールに聞いてみて――私は、ちゃんと機能するチームがどういう風に動くか知ってる」

 ブラックキャナリーとバットガール(バーバラ・ゴードン)がチームBirds of Preyで一緒に戦っていること、Birds of Preyはいいチームだということを思い出させてくれて、いいですね!
 
 また、キラーフロスト(この作品ではフロスト)は、そもそもバットマンが「人にはやり直すチャンスが与えられるべきである」と思うきっかけを作った人であるらしく。もともとヴィランだったものの、バットマンに協力するようになったという過去があるようです。このチームのコンセプトに直結するだけに、今後大きくクローズアップされそうで楽しみです。